8月のインテリアレポートは窓についてのお話です。
窓は家の顔、外部からも内部からも見て美しい位置でなくてはなりません。とくに家の外観に関わる大事な構成要素ゆえ外から見られる顔を意識して窓の形や大きさを決めます。
日本では南優先の考えが根強く日当たりの良い方向の窓は大きくとりともすれば洗濯モノを干すためのテラスをつけがちです。
これは機能を優先すれば有りかも知れませんがインテリアを考えると必ずしも正しい取り付け方とは言えません。
建築もインテリアも機能とデザインが一体になって初めて美しいものができます。窓の使い方と同時に窓回りのインテリアをご紹介いたします。
窓の位置の基本。中央の玄関ドアを中心に窓はシンメトリーに配置されています。上下が揃っていることでより一層建物の顔が美しく見えます。 | リージェンシー建築様式のエレガントな建物でも窓の位置は縦横が綺麗に揃っています。冬場の採光が少ない北の国では長く室内に光が入るように細身で縦に長い窓が取り入れられました。 | 田舎のコテージでは寒さを防ぐため窓は小さめに配置されています。左右の窓の大きさが異なるのは扉の位置が中央からすこしずれていることが影響しています。ドア脇の方が若干小さいのでボリューム感が左右でそろい美しいバランスをとっています。 | ノフォークの海岸ではこのようなフリントと呼ばれる石が沢山見られます。産直の石を外壁に貼りエリア性を出しています。小さな窓が外壁の中で一枚の絵のように綺麗に収まっています。 |
窓は細身で縦長だとお洒落感が一層増します。ヨーロッパの開き窓は内開きなので外のバルコニーが小さくても開閉に問題はありません。アイアンのバルコニーは道行く人のため、美しく見えるための装飾となっています。 | ロンドンのフラットではこのような半地下の家が多く見られます。道路より低い位置に窓があるため室内がよく見えます。カーテンで中を隠す家は少なく外からも綺麗に見えるように部屋を整えています。このことからも窓は外を意識して作られていることがわかります。 | 道行く人が一番喜ぶのは美しい植物が見られることですね。ウインドウボックスは一番のホスピタリティの表れです。 | 日差しの強い夏の間外側からぴったり閉められる木製のサンシェードは暑さを防ぐ上でもとても便利ですね。 |
逆に沢山の光を部屋に取り込むにはコンサーバトリーのような窓いっぱいの部屋が素敵ですね。こちらは奥行きが1.5mほどでしょうか。細長い通路のような部屋ですが明るいアウトドアリビングの役目も担っています。 | 英国の出窓は床から立ち上がっているので窓前のスペースはよくベンチやソファが置かれます。 |
こちらの窓もベイウィンドウを呼ばれる出窓です。小さなテーブルと椅子が置かれ素敵なコーナーを作っています。出窓のカーテンは開けられたままです。外の景色と一体になり窓が一枚の絵になっているからです。 | ダイニングルームの窓はテラスウィンドウが便利ですね。ここからすぐにお庭や勝手口に出られます。勝手口の扉もこのようにキャラクターたっぷりだとインテリアの一部になります。 |
ベイウィンドウの例をもう少しご紹介します。 南向きに面したオフィスの窓にはカーテンはありません。よく見ると内側に扉がついておりカーテンの役目を担っています。カーテンだと甘くなりがちなインテリアをスタイリッシュにまとめています。 |
同じ家の別のベッドルーム。黄色く塗られた縦長のダブルハング窓。カーテンの代わりに木製の内扉が付いています。夜は黄色い扉をパタパタ閉めて休みます。防犯上も安心な上見た目も綺麗です。機能とデザインが一体の例ですね。 | 窓は家の顔。外から室内を綺麗にみせるのも窓の役割です。 | 小窓はインテリアシーンを作りやすいですね。小さな窓のスペースがあったらぜひ試して見られてはいかがでしょうか。 |
テラスウィンドウは日本では機密性の点で敬遠されがちです。確かに隙間風が入りやすいけれど窓前に暖房器具を置けば問題は解決されます。美しいインテリアにテラス窓は欠かせません。 | ロンドンのマナーハウスで見かけた温室のような部屋、オランジェリーの窓は1年中光を中に取り込むため高く大きくしつらえられています。19世紀の頃、地中海地方から持ち込んだオレンジの木を育てるために作られました。 これはコンサーバトリーの原型となりました。優雅な美しさは暮らしの豊かさを物語っています。 |
日本の原風景ともいえる外廊下についた窓。 高温多湿の日本の気候では家は矩形(四角)に東西に細長く,南北に開口部を設けることが一番の形といわれています。この家で過ごしていると日本建築の原型を確認いたします。 |
さて沢山の窓を見ていただきましたがいかがでしたか? 窓は家の顔ということがお分かりいただけたでしょうか?写真のような美しい窓に出会うたびにどのような方たちが暮らしているのかしらと想像が膨らみます。 建築は存在自体が社会貢献であるべきだと考えます。道行く人々が目にして心豊かになるようなシーンをつくることが美しい街並みへ繋がるのですね。 |
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